彼は高級官僚の父と奴隷の母の間に生まれたが、父の家の名誉を守るため、早春の寒い頃、梅の木の下に捨てられた。そこから「イルジメ(一枝梅)」の名がつけられた。養子として清に送られ育てられるが、出生の秘密を聞いたイルジメは再び祖国へ舞い戻る。その後、あることがきっかけとなり支配階級に対する怒りを抱いていたイルジメは庶民の暮らしを守る義賊に生まれかわる。盗み去った現場には黄金の梅の枝を残して。黒覆面に顔を隠し、やむを得ず世の英雄となったイルジメ。その孤独な人生に安らぎを与え、世間と彼を結ぶ窓口になったのは、彼の生涯の恋人ウォルヒだった…。
数世紀にわたり英雄として語り継がれてきた一枝梅(イルジメ)。悪者を退治し、梅の枝を残して去るという彼の生涯は、ある書物に刻まれている。西人派が圧政を敷いていた仁祖の時代、漢陽では盗賊団の縄張り争いが激化し、人食い男ブルガサリが暴挙を重ねていた。そんなある日、1人の青年が、長白剣法という技でブルガサリを気絶させる。彼は3年前に姿を消した義賊イルジメだった。イルジメに魅せられた1人の儒者とその助手は、彼の足跡を綴る。これが「記異一枝梅伝」だ。
物語はイルジメの誕生にさかのぼる。高級官吏と奴婢の間に生まれたイルジメは、家名を汚すとされ、川に捨てられる。そして物乞いのゴルチとヨルゴン和尚に救われ、波乱に満ちた運命をたどっていく…。
物乞いのゴルチとヨルゴン和尚に救われたイルジメは、家名を汚すとして命を狙われるが、和尚の機転により追手から逃れ、清の豪族の養子となる。数年後、たくましい青年に成長したイルジメのもとに、ワン・フェンボという奇妙な男が現れる。偶然にもイルジメの出自を聞き出したワン・フェンボは、実母が書いた手紙をイルジメに読ませ、巧みな話術でそそのかす。衝撃的な事実を知ったイルジメは、悩んだ末、ワン・フェンボと共に朝鮮へ行くことを決意。一方、イルジメと婚約を交わしていた娘の父である城主は憤慨し、莫大な懸賞金をかけて町中に捜索を呼びかける。こうしてイルジメは追われる身となってしまう。だがすべては、清の間者であるワン・フェンボの策略であった。
実の両親に会いに行くことを決意したイルジメは、追手の妨害に遭いながらも、なんとか朝鮮へたどり着く。一方、清の間者であるワン・フェンボは、朝鮮の秘密文書を盗み出す計画を進めていたが、捕盗庁のク・ジャミョン部将に阻止される。その一味として捕らえられてしまうイルジメ。そして彼がかつて愛したペンメの息子だと知ったジャミョンは、イルジメの父を探すべくキム参判の元へ連れていく。しかし、参判は2人を追い返してしまう。絶望の中で一人孤独に生きていくことを決意するイルジメ。偶然にも、同じ牢の盗人からイルジメを拾ったゴルチの話を聞き、母の居場所を捜すため、イルジメはゴルチの元を目指すのだった。そんな折、森で1人の女性と出会う。
山で孤独な生活を送っていたイルジメは、ダルという女性に出会う。そして、山参採りをしているという彼女の父親と3人で暮らし始める。心を閉ざしていたイルジメも、天真爛漫なダルに惹かれ、次第に心を開き笑顔を取り戻していく。ある夜、イルジメはかつてダルの父が捨てたという剣を拾う。それを機に、ダルの父はチャンベク剣という剣術をイルジメに伝授する。一方、清の間者ワン・フェンボは逃走を続けていたが、あと一歩のところで、補盗庁のク・ジャミョン部将らに捕らえられる。イルジメと母ペンメの再会を願うジャミョンだったが、山で頻発する鶏泥棒がイルジメの仕業だと気付く。そして、ついにイルジメの居場所をつきとめる。
イルジメとダル、そしてダルの父カン・セウクは捕盗庁のジャミョン部将によって捕らえられる。そこで、セウクが訓練都監の教官であったことが判明。謀反の罪で死んだイ大監に仕えていたセウクは、大監の娘ダルを守るため山に身を隠していたのだ。謀反は権力者による陰謀であったが、2人は非情にも、イルジメの目の前で処刑されてしまう。心のよりどころをなくし、街で暴れるイルジメ。追われる身となるが、ダルと瓜二つの女性ウォルヒに助けられる。ウォルヒとダルを重ね、思い出の洞窟に向かったイルジメは、昔、自分を救ってくれたヨルゴン和尚と出会う。母親に会わせてやると言うヨルゴン和尚についていくが、突然、小屋に閉じ込められてしまう。
ヨルゴン和尚によって、10カ月間、小屋に閉じ込められたイルジメは改心し、ゴルチのいるハッコルへと向かう。一方、儒者のソンダルは、偽の宝剣を売りつけた少年チャドルと再会する。チャドルが詐欺の片棒を担いでいたのは、両親を亡くし、ほかに生きるすべがなかったためだと知ったソンダルは、チャドルを引き取ることにする。そんな中、ハッコルに辿りついたイルジメは、ゴルチに歓迎され、2人で穏やかな生活を始めようとしていた。しかし、イルジメの美しさに魅了された村の娘たちが、彼をめぐって衝突し、殺人事件が起きる。責任を感じたイルジメは、ゴルチと別れハッコルを去ろうと船を出すが、荒波にのまれ難破してしまう。
ゴルチの元を去ろうと船を出したイルジメは、嵐にのまれ、意識を失ったまま日本に漂着する。そして日本人の一家に助けられ、忍術を学ぶ。しかし、その家の娘が自分との結婚を望んでいることを知ったイルジメは、日本を離れる決意をする。一方、ジャミョン部将は、漢城府の役人の陰謀で島流しにされてしまう。流刑地へ向かう途中、偶然にもイルジメの母ペンメと再会する。ジャミョンは男たちに襲われそうになったペンメを助けるが、ペンメには無下にされてしまう。そんな中、漢陽の民衆は、暴挙をふるう2派の盗賊団に苦しめられていた。3年ぶりに戻ったイルジメは、その現実を目の当たりにし、2大盗賊団ボンソニ派とヘドンチョン派の一掃に乗り出す。
漢陽で2大盗賊団が暴挙をふるう中、朝廷はボンソニ派の人食い男ブルガサリを捕えるため、ジャミョン部将の復職を決める。それを阻止しようと、ボンソニ派が朝廷からの伝令を殺そうとしたところ、覆面姿のイルジメが登場、見事ブルガサリを捕らえる。一方、清の間者ワン・フェンボは、ボンソニ派の男たちとともに脱獄し、彼らの一味となる。そんな中、イルジメは3年ぶりにウォルヒと再会、互いに愛を確かめ合う。盗賊団の動向を探るため妓生に変装したイルジメは、漢城府の判事キム・ジャジョムが密かに運ばせようとしていた黄金が狙われていると知る。イルジメは、日本で学んだ手裏剣を使って盗賊団を打ち負かし、手に入れた黄金で梅の花の髪飾りを作り始める。
漢城府のキム・ジャジョムは、腕利きの部下パクを使って強奪された黄金の所在を調べるうちに、イルジメの存在を知る。貸本店を訪れたウォルヒは、上納金を巻き上げる役人に襲われそうになるが、イルジメによって助けられる。その後、役人は不正帳簿とともに街に吊るされ、現場には金の梅花の髪飾りが残されていた。一方、物乞いになりすました捕盗庁のジャミョンは、へドンチョン派に潜り込み、本拠地を探ろうとするが、正体を知られ襲われてしまう。密かに協力していた部下キム・ギョンチョルに助けられるジャミョン。しかしそのギョンチョルは2大盗賊団の本拠地を言い残し、殉職してしまう。部下の無念を胸に、ジャミョンはついに盗賊団の本拠地を奇襲する。
盗賊団の本拠地をつきとめたジャミョンは、ヘドンチョン派の掃討には成功するが、ボンソニ派にはあと一歩のところで逃げられてしまう。漢陽に戻ってきたゴルチは、偶然酒場に居合わせたワン・フェンボに頼まれ、ボンソニ派の隠れ家まで荷物を運ぶ。ワン・フェンボはそのゴルチを殺そうとするが、イルジメの機転で難を逃れる。イルジメは、ゴルチを通して捕盗庁のジャミョンにボンソニ派の隠れ家を報告。ジャミョンはボンソニ派を襲うが、頭とフェンボを捕らえ損ねる。盗賊団の一掃後も、イルジメは悪事を働く権力者から人々を守っていた。そしてその噂は、イルジメに黄金を奪われたキム・ジャジョムの耳にも届く。そんな中、ジャミョンは、イルジメの母ペンメのもとを訪れる。
ペンメのもとを訪れたジャミョンは、イルジメの生い立ちを話す。そして、20年間ペンメを想い続けてきたことを告白し、2人を守っていきたいと告げる。ペンメは戸惑いながらも、彼の気持ちを受け入れる。一方イルジメは、盗賊団の討伐後も漢陽の治安を守るため、腐敗した権力者の財産を盗み、貧しい人々に分け与えていた。その噂は街に広がり、権力者たちはイルジメ対策を講じていた。不法な高利貸しで儲けるシム大監も保身のため軍官を雇うが、イルジメの武術に完敗する。そんな中、ヨルゴン和尚のもとを訪れたイルジメは、ウォルヒと婚礼を交わすことを報告。しかし、かつてイルジメの目の前で処刑された初恋の少女、ダルの話を持ち出され、苦悩してしまう。
ヨルゴン和尚の寺から戻ったイルジメは、ダルとウォルヒを重ね、ウォルヒに素っ気ない態度をとってしまう。一方、ボンソニ派の頭と逃亡を続けるワン・フェンボは、資金調達に失敗し、捕盗庁に捕まりそうになるが、なんとか逃げ切る。次第にイルジメの噂が街に広まる中、イルジメは寝る間を惜しんで民のために尽力していた。一方、キム・ジャジョムと同じ派閥の両班ソン・ソクチュが、敵対派閥のチェ・セウンの娘を我が物にするため、手下を使って娘を連れ去る。イルジメは、娘を助けようと先回りするが、イルジメの協力者だと名乗るヤンポという男が現れ、手下たちを追い払う。イルジメは、捕らえられたセウンを助け出すため、妓生に扮しソクチュ邸に忍び込む。
チェ・セウンとその娘を助けたイルジメは、罪深い権力者たちへの見せしめとして、彼らを陥れた両班ソン・ソクチュを殺そうとする。見かねたウォルヒは、ダルへの想いが心を惑わせているとイルジメに忠告する。ソクチュを生かすことを決意したイルジメだったが、ソクチュ邸に火を放ったことで、放火犯として捕盗庁に追われる身となってしまう。ウォルヒの気持ちを察したイルジメは、自分の生い立ちを話し、天涯孤独の自分を救ってくれたダルを忘れることはできないと打ち明ける。そんな中、ジャミョンの想いを受け入れたイルジメの母ペンメは、我が子に会うため漢陽へと向かうが、道中でイルジメが放火で捕らえられたという噂を耳にし、動揺する。
イルジメの心にダルがいることを知ったウォルヒは、婚礼を取り消したいと申し出る。しかしその矢先、イルジメをかくまったとして捕盗庁に連行されてしまう。2人の居場所を密告したのは、以前イルジメの協力者として現れた謎の男ヤンポだった。一方、ジャミョンは、愛するペンメのため、イルジメを救おうと奔走する。ジャミョンの読みどおり、イルジメは危険を顧みずウォルヒを救出。現場で鳴らされた太鼓の音によってダルの処刑場面を思い出し気を失うが、ヤンポに助けられる。イルジメはウォルヒの元へ戻り、再び愛を誓う。漢陽に着いたペンメは、ジャミョンが命がけでイルジメを助けようとしていることを知り、姿を消してしまう。
母ペンメが漢陽にいることを知ったイルジメは、ジャミョンの元を訪れるが、ペンメは既に去ったあとだった。一方、逃亡を続けるワン・フェンボは、イルジメになりすまし、牢にいる盗賊を逃がす。ワン・フェンボの仕業であると突き止めたイルジメは、慶尚道で王への献上品を強奪する計画を知り、慶尚道へ行くことを決意する。そんな中、突然姿を消したペンメが娼館にいることを知ったジャミョンは、ペンメに会いに行く。ペンメは帰るよう諭すが、ジャミョンの愛の深さを知り受け入れる。一方、キム・ジャジョムは、イルジメを恐れる権力者たちを集め、着々とイルジメ討伐の準備を進めていた。そしてイルジメは、ウォルヒに別れを告げずに、慶尚道へと向かう。
黙って姿を消したイルジメを追い、ウォルヒも慶尚道へ向かう。そんな中、ジャミョンも、献上品を奪おうと目論むワン・フェンボたちの計画を阻止するため、慶尚道へと急いでいた。そして、盗賊たちを待ち伏せていたイルジメのおかげで、捕盗庁はボンソニ派の頭を捕らえるが、ワン・フェンボには逃げられてしまう。一方ウォルヒは、偶然にもイルジメと再会する。しかしイルジメは、ウォルヒをダルのように失うのを恐れ、あえて冷たく突き放す。ウォルヒは悲しみのあまり飛び降り自殺を図るが、イルジメをつけてきたヤンポに助けられる。ウォルヒを失い絶望するイルジメの前に、キム・ジャジョムが送った刺客が現れる。そしてイルジメは、初めて人を殺してしまう。
イルジメに突き放され、身を投げたウォルヒだったが、謎の男ヤンポに助けられ一命を取りとめる。そして、ゴルチと共に漢陽へ帰ることを決めるが、そうとは知らないイルジメは自責の念に駆られ、次々と悪人を手にかけていく。そんな中、権力者のクォン大監は清と内通して恐ろしい陰謀を企てていた。さらに息子ジャンホのために、罪のない青年を殺してしまう。その事実を知ったイルジメは、クォンの屋敷に侵入し、残忍な手段で殺害する。一方、クォンと同じく陰謀を企むキム・ジャジョムは身の危険を感じ、火縄銃を操るパクという男にイルジメ殺しを命じていた。パクの部下に撃たれたイルジメは、負傷し倒れてしまう
キム・ジャジョムの部下に撃たれたイルジメは、瀕死の状態でヨルゴン和尚がいる寺に辿り着く。ウォルヒの献身的な看病により意識を取り戻したイルジメは、和尚の説教を受け、二度と人を殺さないことを誓い、ウォルヒのそばを離れないと約束する。一方、捕盗庁に捕まったゴルチからイルジメの居場所を聞き出したジャミョンは、弓部隊を引き連れイルジメの隠れ家に向かうが、イルジメを見つけることはできなかった。
そんな中、クォン大監と共に清との陰謀を企てていたキム・ジャジョムは、イルジメの居場所を突き止め、イルジメに奪われた清との密書と引きかえに、ウォルヒをさらう。イルジメはウォルヒを救い出すため、ジャジョム邸の裏に住むソンダルの家で作戦を練る。
イルジメは、キム・ジャジョムに監禁されたウォルヒを助け出すため、ソンダルらと綿密な作戦を立て、無事ウォルヒを救出する。そして、キム・ジャジョムの陰謀を知った猟師パクはキム・ジャジョムの元を去る。清の脅威を感じたイルジメは、チェ・ミョンギル大監と接触する。チェ大監は、清との戦争に備え火砲の開発を進めるよう王からの秘密勅旨を受けていたが、資金繰りに困っていた。イルジメは資金と場所を提供したいと申し出る。一方、イルジメの協力者と名乗ったヤンポは、ワン・フェンボの元を訪れる。ヤンポは清からの使者で、イルジメが婚約を破談にしたモラン姫の父から、イルジメを清へ連れ戻すよう命令を受けていた。清へ戻れるチャンスを掴んだワン・フェンボは、ヤンポに協力する。
イルジメとチェ大監は山にこもり、着々と火砲の開発を進めていたが、キム・ジャジョムの手下に居場所を突きとめられてしまう。密書を取り戻したいキム・ジャジョムはイルジメに会い、手を組もうと申し出る。しかしそのすきを狙って、パクが火砲製造の証拠をつかんでしまう。一方、チェ大監とイルジメの関係を探っていたジャミョンは、チェ大監のもとへ出向く。チェ大監は、王命を受けている立場で盗賊と共謀するなどあり得ないと突き放す。しかし、ジャミョンの思いを知り、彼の話が事実だとしたら、イルジメの罪も帳消しになるだろうと告げる。そんな中パクは、イルジメたちを妨害すべく、煙硝倉庫を爆破させる。そこへワン・フェンボとヤンポが現れ、太鼓の音で気絶したイルジメを拉致する。
火砲の製造所を爆破され重傷を負ったイルジメは、ヤンポらに拉致されるが、その後ソンゲに助けられる。しかしイルジメに誤解されたソンゲは、争いの末、崖から落ちて絶命する。イルジメは自力で開城までたどり着くと、偶然にも母ペンメに助けられる。手厚い看病により回復するが、2人は親子であることを知らないまま別れてしまう。一方、イルジメの弱点が太鼓の音であることを悟ったジャミョンは、イルジメをおびき出すため再びウォルヒを監禁し、盗んだものすべてを返すよう警告する。ウォルヒを救い出そうと計画を練るイルジメたち。厳重な警備を前に手を出せずにいたが、武芸に秀でたパク・ピスと命がけで戦うことを決意したイルジメは、ウォルヒの救出に向かう。
ウォルヒを無事救出したイルジメは、パクとの一騎打ちを制するが、太鼓の音を聞き倒れてしまう。そこへ部将のジャミョンが現れ、イルジメを捕らえる。しかし、キム・ジャジョムの陰謀によりイルジメの減刑はかなわず、打ち首を言い渡されてしまう。ジャミョンはペンメとの約束を果たすため、イルジメを逃がし自ら命を絶つ。一方、イルジメの脱獄に焦るキム・ジャジョムは、奇仙女から昇進するとのお告げを受け安堵する。しかし奇仙女は、キム・ジャジョムの死を予知していた。そんな中、ジャミョンから母ペンメの居場所を聞いていたイルジメは開城へと向かう。しかし、イルジメが死刑になったという噂を信じ込んだペンメは、自ら命を絶とうとしていた。
イルジメは母ペンメに会いに行くが、ペンメはすでに毒を飲んだ後だった。ようやく親子として対面を果たした2人であったが、ペンメはイルジメの腕の中で息絶える。傷心のイルジメはミョンギル大監の元を訪れるが、戦に備えて清で密かに情報を探る仲間を援助するよう勧められる。ウォルヒのことを気にかけるイルジメであったが、清へ行くことを決意する。そして清の動きを探るうち、間もなく朝鮮が攻撃されることを知る。イルジメは、敵の作戦を伝えるため朝鮮へ急ぐが、ジャミョンのかたきをとろうと追ってきたスリョンに刺され重傷を負う。真実を知ったスリョンはイルジメの代わりに朝鮮へ向かい命と引き替えに密書を届けるが、密書はキム・ジャジョムの手に渡ってしまう。
重傷を負ったイルジメが回復したころ、清はすでに朝鮮を侵略していた。イルジメは自分を責め、捕虜解放の手助けを始める。一方、イルジメの子を身ごもったウォルヒは、ゴルチと南村で暮らしていた。ソンダルは、捕虜となったチャドルと再会を果たすが、病に倒れ息絶えてしまう。ソンダルの遺志を継いだチャドルは、その後、『一枝梅(イルジメ)伝』を完成させる。清の皇帝ホンタイジは、イルジメが盗んだ宝剣と引き替えに捕虜を解放、人々は朝鮮へ帰ることができた。イルジメも数年ぶりに祖国の地を踏み、ウォルヒと息子ヨンに温かく迎えられる。ようやく平穏な生活を手に入れたイルジメは、英雄など活躍する必要のない平和な未来を願うのだった。
美賊イルジメ伝