1418年、譲位により朝鮮王朝4代王として世宗(セジョン)イ・ドが即位したが、軍権を中心に実権は前王である太宗(テジョン)イ・バンウォンが握っていた。王権強化のため有力な臣下をことごとく粛清してきたイ・バンウォンは、イ・ドの義父であるシム・オンとその一家を反逆罪で処刑する。シム家の使用人の息子のトルボクは、幼なじみのタミと逃げ出すが、途中で離ればなれになってしまう。月日は流れ、1446年。イ・ドが父を殺した張本人と思い込んでいたトルボクは、カン・チェユンと名を変えて、イ・ドへの復讐を胸に武官として宮中に勤務する。その頃、宮中では、イ・ドの文字創製事業に関わる人物が次々に殺害される事件が起こっていた。イ・ドから直々に事件捜査を任されたカン・チェユンは、その過程で王権を牽制する秘密組織“密本(ミルボン)”との闘争に巻き込まれる一方、文字創製事業の中核を担う女官で、幼い頃の記憶により口がきけないというソイが、タミであることに気付く。
シム・オン家の使用人の少年トルボクは、大人たちも手に余る乱暴者で、唯一の味方は幼なじみのタムだった。時は1418年、世宗(セジョン)イ・ドの時代。だが実権は先代王の太宗(テジョン)イ・バンウォンにあった。血の粛清で王権を築いたイ・バンウォンの次の標的は、イ・ドの義父シム・オン。無力なイ・ドは義父を助けようと手紙を送るが、それが反逆の証拠となり、手紙を届けたトルボクの父ソクサムも殺されてしまう。
捕らえられたシム家の使用人たちは脱獄を試みるが、兵士たちに取り押さえられて皆殺しに遭う。その現場を目撃したイ・ドは、山中に逃げ延びたトルボクを救うため、父イ・バンウォンに初めて反旗を翻し、トルボクは国王が最愛の父を死に追いやったと聞かされて仇討ちを誓う。イ・ドは抵抗の代償として、父から自決を命ずる空の重箱を贈られるが、それをきっかけに自分の描く国家の姿を見つけ出す。
武力で威嚇する父を前にイ・ドは、文による統治こそが自分の理想と宣言し、若い人材の育成機関として集賢殿(チッピョンジョン)の設置を求める。その夜、かつてイ・バンウォンに粛清されたチョン・ドジョンの秘密結社・密本(ミルボン)が、新たな動きを見せる。イ・バンウォンの側近チョ・マルセンは、密本の首長チョン・ドグァンの潜んだパン村を襲撃するが、パン村に預けられていたトルボクは、その騒ぎに巻き込まれる。
チョン・ドグァンは矢に倒れ、“密本(ミルボン)之書(ジソ)”と入れ替わったトルボクの巾着をチョン・ギジュンに託す。4年後、イ・バンウォンがこの世を去り、さらに20年あまりの時が流れる。北方で武功を立てたトルボクは、カン・チェユンと名を変えて、国王イ・ドへの復讐心を胸に、兼司僕(キョムサボク)として王宮に入る。その頃、武官コ・インソルが北方で殺害されたのに続き、集賢殿(チッピョンジョン)で学士ホ・ダムが遺体で発見される。
カン・チェユンは、イ・ドに接近する機会を得るため、殺人事件の捜査に乗り出す。カン・チェユンは、パン村に住む検死の達人のカリオンから、学士ホ・ダムの特殊な殺害方法を知るが、それは武芸の師匠イ・バンジの使う必殺技“乾溺死功”だった。その夜、カン・チェユンは、集賢殿(チッピョンジョン)に侵入した学士ユン・ピルを追うが、ユン・ピルは出上術を使う謎の仮面の男に連れ去られてしまう。
カン・チェユンは、鋳字所(チュジャソ)で起きた火災現場から、広平大君(クァンピョンデグン)付きの女官ソイを救出する。彼女は口がきけず、一度目にしたものは何でも覚えられる記憶力の持ち主だったが、彼女こそがトルボクの幼なじみタムだった。一方、ユン・ピルの遺体から“丨口亡己”という4つの活字が発見される。さらに彼の身体に謎の入れ墨を発見したカン・チェユンは、集賢殿(チッピョンジョン)の学士たちの身体検査を要求する。
ユン・ピルの残した活字は“密本(ミルボン)”を表していた。一方、遺体の盗難事件を通じて、一連の事件には国王側の人間と犯人側の2つの陣営が関わっていると睨んだカン・チェユンは、パン村の書店で仮面の男と同じ模様の腕輪をした男を見かける。カン・チェユンは、遺体を盗んだのが集賢殿(チッピョンジョン)の学士ソン・サンムンだと突き止め、彼の行方を追って山中に向かうが、そこで再び仮面の男と一戦を交える。
カン・チェユンは、仮面の男ユン・ピョンをあと一歩のところで逃してしまう。翌朝、宮中の池で学士チャン・ソンスの遺体が発見され、その下から密本(ミルボン)を象徴する文言が出てくる。同志たちが次々と密本の手に掛かっていることに衝撃を受けたイ・ドは、自分の理想が正しかったのかと苦悩にさいなまれるが、カン・チェユンも同様に、自ら決心した道を傷つきながら進んでいると知って、再び決意を固める。
イ・ドはカン・チェユンの目的が自分の暗殺だと知りながら、カン・チェユンに密本(ミルボン)の捜査を任命する。一方、ユン・ピルが残した“君那弥欲”の謎にたどり着いたソン・サンムンとパク・ペンニョンは、ついにイ・ドから秘密事業の全貌を知らされる。そんな中、世論調査の担当になったナム・サチョルが、密本から脅迫を受ける事件が起こり、現場に残された刀からカリオンが犯人として捕らえられる。
事件のあった時刻、カリオンはイ・ドの密命を受けるために女官のソイと会っていたが、その事実を公表することはできない。カン・チェユンは、別方面からカリオンの無罪を証明するため奔走し、その甲斐あって、脅迫事件の真相は判明する。カリオンは無罪放免されるが、“カリオンを救え”という密本(ミルボン)の指令を受けていたイ・シンジョクは、カリオンを捕らえて密本との関係を追及する。
イ・ドはカリオンを、成均館(ソンギュングァン)の儒生たちがチョン・ドジョンを偲んで集まるという裏山に呼び、酒を酌み交わす。イ・ドはカリオンの協力を得て、発音の原理を探るために人体解剖を行う。そんな中、北方からイ・バンジの使いがトルボクを訪ねてくるが、密本(ミルボン)の一味に殺害される。一方、密本の本元チョン・ギジュンは、全国から会員を集めて会合を開くが、元老会員から“密本(ミルボン)之書(ジソ)”を求められる。
未完成の“福”の字が縫い付けられた巾着の絵が街に張り出される。トルボクが生きているかもしれないとの希望にソイは指定された場所に向かい、また巾着と入れ替わった“密本(ミルボン)之書(ジソ)”を取り戻すため、密本(ミルボン)も動き出す。ソイはトルボクを呼ぶために、“継言(ケオン)山、馬医”という張り紙を張り出すが、ユン・ピョンに拉致されてしまう。継言山の意味を解いたカン・チェユンは、タムに会いに山へと向かう。
ついにお互いの姿を確認したカン・チェユンとソイ。しかしそこにユン・ピョンの刀が襲いかかり、カン・チェユンを助けるためにソイは声を取り戻す。イ・ドは二人を遠くに逃がすが、ソイは文字創製事業をやり遂げるために、イ・ドのもとへと帰ってゆく。一方、カン・チェユンから“密本(ミルボン)之書(ジソ)”を取り返したチョン・ギジュンは、密本(ミルボン)の結束を固める。その夜、カン・チェユンは王宮に向かう。
イ・ドに刃を向けるカン・チェユン。そんなカン・チェユンに対して、文字創製の審査官になってほしいと説得するイ・ドだが、カン・チェユンは民が文字を学んでも良いことなどないと反発する。その頃、チョン・ギジュンら密本(ミルボン)はイ・ドが文字を作ろうとしていることを突き止め、その事実を世間に公表する。文字創製現場の公開を翌日に控えた夜、イ・ドは全ての資料を退避させようとする。
カン・チェユンは密本(ミルボン)に拉致されたソイと広平大君(クァンピョンデグン)を助けるが、それを知らない密本は、広平大君の命を助けたければ文字創製を諦めろという張り紙を掲示する。それを見たカン・チェユンは、広平大君らをそのまま監禁し、イ・ドが文字と息子の命のどちらを取るか確かめようとする。文字の創製に否定的なカン・チェユンに対し、広平大君とソイは王の作った新しい文字の仕組みを説明する。
イ・ドの面前で、文字創製事業への協力と、チョン・ギジュンの逮捕を誓うカン・チェユン。一方、密本(ミルボン)はカン・チェユンが王の暗殺を企んでいると知って、彼を味方につけようとする。イ・ドは、文字創製への激しい反発に対して、集賢殿(チッピョンジョン)の廃止と引き換えに文字の頒布を認めさせるよう、イ・シンジョクと政治取引を持ちかける。その頃、チョン・ギジュンはイ・ドの作った文字の正体を知って驚愕を受ける。
イ・ドの目論んだ取り引きは急に中止となる。チョン・ギジュンは、イ・ドの作った文字が持つ恐ろしい力に気づき、文字の頒布を全力で妨害しようとする。翌日、科挙試験が実施されるが、首席で合格したのはパン村の身分の低い男だった。文字の頒布によって、身分の低い男ですら官僚になりうるという事実に、特権貴族階級の反発はいっそう激化する。そんな中、カン・チェユンの師匠イ・バンジが、チョン・ギジュンのもとを訪れる。
イ・バンジとの再会を懐かしむカン・チェユン。しかしチョン・ギジュンの目的は、イ・バンジを通じてカン・チェユンを密本(ミルボン)に引き込み、イ・ドを暗殺させることにあった。一方、イ・ドはチョン・ギジュンに会おうとしていた。ムヒュルはイ・バンジを街で偶然見かけ、彼ならチョン・ギジュンの居場所を知っていると仲介を依頼するが、イ・バンジは何者かに襲われて行方をくらましてしまう。
ついにイ・ドの前に正体を現したチョン・ギジュン。秩序維持のために文字の頒布を阻むと主張するチョン・ギジュンに対して、文字によって民に権力を分け与える主張するイ・ド。二人の論戦が続く中、カリオンの小屋を捜査していたカン・チェユンも、密本(ミルボン)の全貌を把握する。チョン・ギジュンは、文字の頒布を妨害するため広平大君(クァンピョンデグン)を殺害し、息子を失って深く胸を痛めたイ・ドは、心に迷いが生じる。
カン・チェユンの言葉に平静を取り戻したイ・ドは、新しい文字を“訓民正音”として世間に公表する準備に取りかかる。イ・ドはチョ・マルセンに密本(ミルボン)の捜査を一任し、チョ・マルセンはソイをはじめとする女官たちを捕らえて王宮から追放してしまう。チョン・ギジュンは、広平大君(クァンピョンデグン)を殺害してイ・ドの心を乱すという計略の成功を確信しつつも、あまりのイ・ドの豹変ぶりに釈然としない。
チョン・ギジュンは、解例印刷の密命を受けたのが女官たちだと気付く。一方、密本(ミルボン)内部でもイ・シンジョクを中心に、広平大君(クァンピョンデグン)の殺害に動揺を見せ始め、イ・ドもその密本の内部分裂に感づく。イ・ドは、重臣らを集めて文字の頒布とともに、密本を公認する代わりに密本であることを名乗り出るよう申し渡す。そんな中、ソイたちは新しい文字を民間に浸透させてゆくが、密本の手に落ちてしまう。
密本(ミルボン)は、チョン・ギジュンとシム・ジョンス、イ・シンジョクの三者に分裂して、ソイの身柄を確保しようとする。危険を察知したカン・チェユンはソイのもとに急ぐが、既にユン・ピョンに拉致された後だった。密本分裂の窮地にもかかわらず、文字の流布を妨害することばかりに執着するチョン・ギジュンに対して、トダム宅ら周囲も危機感を募らせる。そんな中、イ・ドはイ・シンジョクと対談する。
イ・ドはイ・シンジョクを懐柔してチョン・ギジュンを引き渡させようとし、一方のシム・ジョンスはチョン・ギジュンに反旗を翻して、解例の引き渡しと引き換えに、密本(ミルボン)の本元の座を要求する。文字頒布の日を翌日に控え、チョン・ギジュンは兵力を動員してまで、頒布を妨害しようとする。そんな中、ソイの行方を必死で追っていたカン・チェユンは、ついに密本の本拠地を突き止め突撃する。
解例の正体に気付いたチョン・ギジュンは、ソイを殺害しようとするが、そこへカン・チェユンが現れる。逃げる途中で毒矢を受けたソイは、最後の力を振り絞って完成させた制字解をカン・チェユンに託す。その頃、王宮では頒布式が行われようとしていた。チョン・ギジュンの命を受けたカルペイがイ・ドに襲いかかり、それを止めに入ったカン・チェユンの懐から制字解が、集まった民衆の前に散らばる。
根の深い木―世宗大王の誓い―