第40回：新年の祝膳～京町家杉本家～
新年を祝い、家族で囲むおせち料理。古来からの言い伝えや知恵がこめられ、日本の豊かな食文化がおの中に艶やかに詰め込まれています。
今回は、京都の代表的な商家であった杉本家に伝わるお正月料理を教えていただこうと、料理研究家として活躍される次女、節子さんを訪ねました。
江戸時代から杉本家に伝わる「歳中覚」には一年の暮らしにまつわるならわしや決まり事が書き綴られています。
そこに記される元日の食事。その中でおせち料理のお重につめられるのが「三種の祝い肴」といわれる、たたきごぼう、数の子、ごまめ。
この三種には長寿、子孫繁栄、豊作への願いがこめられているのです。
さらに杉本家に伝わるお雑煮の作り方を教えてもらいます。白い食材ばかりで整えられたお雑煮は、新年らしく目に清らか。丸餅は人付き合いを円満に、頭芋は人の頭に立てるように、小芋は子孫繁栄を、祝い大根は、地に根をはるように力強く生きるように、それぞれ願いが込められています。
歳中覚に記されるこれらの料理は、その家を守る女性たちに受け継がれている家族の絆の味でもあるのです。
財団法人 奈良屋記念 杉本家保存会
住 所：京都市下京区綾小路通新町西入
連絡先：tel.075-344-5724
