第61回：京都音楽～始まりはひとつの酒蔵から～
時はさかのぼる事、1960年代後半。学生運動が盛り上がる京都。反戦フォークに端を発した学生達の音楽ムーブメントが起こりました。その中心にいたのは、夢を追い求め、青春を謳歌する若者たち。そして、幾つかの流れを汲み、京都の若者が奏でる音楽はいつしか「京都音楽」と呼ばれるようになりました。
京都市上京区にある老舗ライブハウス「拾得」。1973年の開店以来、ほとんど変わっていないといいます。ここにみんなから「テリーさん」の愛称で呼ばれる方がいます。拾得はテリーさんと当時の仲間が酒蔵を改装して作り上げました。当初はロック喫茶という設定で、コミュニティの場所を作ろうとしたのです。
そして40年近く月日は流れました。相変わらずステージでは熱気を持った若者たちが、情熱の結晶ともいえる音楽を奏でます。テリーさんが若き日に、仲間たちと燃やした情熱。その思いは時代時代に確かに受け継がれています。
「僕が20代の気持ちのまま、とまっているのかもしれない。だから今でも同じ目線で見れる。」
拾得はこれから世に出ようとするミュージシャンたちのまさに学び舎のような存在になりました。温かく見守るテリーさんの存在。そして学生や若者たちが引継ぐバトンリレーが他の街にはない独自の空気を持った「京都音楽」を作り上げていきます。
拾得
住 所：京都市上京区大宮通下立売下る
連絡先：tel.075-841-1691
