きょうは三重県桑名市を走る三岐鉄道・北勢線を紹介します。
桑名は名古屋からJR/近鉄で20分ほどの距離で、
「ながしまリゾート」や「なばなの里」で有名。
JR桑名の共同駅舎には、JR関西本線・近鉄名古屋線・養老鉄道が集まります。
そして200mほど離れた「西桑名」に駅舎をもつ三岐鉄道・北勢線は、
いまや全国でも珍しい「ナローゲージ」の路線なんです。
一般に鉄道の軌道は新幹線や阪急・京阪の1435mmの標準軌と、
JR在来線などが採用する1067mmの狭軌に分かれますが、
ナローゲージは線路幅762mmですから、
標準軌の半分くらいの線路幅で懸命に走ります。
この北勢線は西桑名~阿下喜の約20kmを結び、
出発してしばらくは標準軌の近鉄、狭軌のJR、
ナローゲージの北勢線の3軌条そろい踏みの光景を楽しむことができるんです。
とにかく線路幅が狭いため、
車内は横幅もちょうど両手を広げたくらいで、
ロングシートでは向かいの人の足やひざがぶつかりそうです。
また横揺れは激しいのでご注意ください。
列車は桑名の市街地から、田園風景を経て、
やがて雪を冠った藤原岳を右に眺める壮大な景色に変化していきます。
列車は独特のディーゼル音を響かせながら
最高時速45kmでのんびりと走ります。
そして いなべ市の中心駅「楚原」を過ぎたあたりで、
沿線一の鉄道遺産に出会えます。
まずは美しい曲線をもつ 通称「ねじり橋」。
橋と用水路が斜めに交差するため、
橋の下のブロックにひねりを入れた「ねじりまんぼ」になっており、
唯一現存する貴重な橋です。
もうひとつはコンクリートブロック3連アーチという
長さ19mの「めがね橋」。
北勢線随一の撮影スポットを、列車はゆっくりと走り抜けます。
これら2つの橋はいずれも大正5年に
完成し、ともに土木学会の土木遺産に選ばれています。
そして西桑名から約60分で終点・阿下喜に到着。
ホーム横には軽便鉄道博物館も設置さ
れ、第1・3日曜に公開されています。
また のどかな駅横には宿泊施設と温泉施設が合体した「いなべ阿下喜ベース」があり、
いなべ川と藤原岳に囲まれたのどかな風景を満喫しながらリフレッシュできるんです。
大正3年にセメントなどを運ぶ軽便鉄道として開業した北勢線。
日本では今やナローゲージはこの三岐鉄道北勢線と、
同じ三重県の四日市あすなろう鉄道、
そして富山の黒部峡谷トロッコ電車の3路線だけという
貴重な存在になってしまいました。
ぜひ一度「なばな」や「ながしま」に行ったときにでも乗ってみてください。
鉄アナ・羽川英樹の出発進行
鉄アナ羽川 #101「三岐鉄道・北勢線(三重)」~今や貴重なナローゲージ路線はみどころ満載~↓からご覧ください。