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8/29のテーマは...交通事故:最新の判決のお話から

▼8月29日のテーマは、「交通事故」に関するお話でした。
 7月9日に最高裁で【定期金賠償】を命じる判決が出ました。

▼実は一度に損害賠償金を受け取った場合、救済される金額が少なくなるのです。
 例えば、18歳から働いて、67歳(49年間)まで、毎年500万円の収入を得られたはずなのに、
障害により、得られなくなった被害者様の場合を考えます。
 この場合、500万円×50年分=2億5000万円の賠償をしてほしいと誰でも考えますよね。
 しかしながら、実際、損害賠償請求の実務では、本来は将来受け取るべきお金を
前払いしてもらう場合、将来にわたって発生するはずの利息分を差し引いて計算します。
 これを「中間利息控除」といいます。
 つまり、将来の損害を前払いでうけとった場合、利息で運用すれば、増やすことができるので、
その分を差引して支払するという考え方です。
 2020年4月1日以降に発生した交通事故では、利息は3%と考えます。
 (※実際に銀行の金利はそんなに高くありませんが、民法では、3%と考える)
そうすると、具体的な計算額は、500万円×25.502(49年の中間利息控除(ライプニッツ係数))
=1億2000~3000万円に。
 大幅に金額が減少することになり、先程の金額2億4500万円とは大きく異なります。
 1億1749万円も減少してしまいます。

▼そもそも、交通事故で後遺症などが残った場合の賠償金は、
 将来の損害も含めて一括して支払われることが一般的でした。
 しかし、令和2年7月9日最高裁判所(第一小法廷判決)では、後遺障害をうけた被害者様に対し、
 将来の介護費用については死亡時まで、逸失利益については67歳まで、
 毎月の定期金賠償の方法による支払を命じました。

 ※「逸失利益」とは...
  将来得ることができた利益(逸失利益) ※18歳から67歳まで
  障害を負ったために、仕事ができなくなり、そのため将来得ることができるはずであった
  収入を得ることができなくなったことによる損害。
※将来の介護費 ※平均余命に基づく死亡年齢まで。
  障害を負ったために、将来的に発生する介護費用

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番組について

私たちにとって身近な、お金にまつわる色々な法律問題についての解決方法を「みお綜合法律事務所」の弁護士・澤田有紀先生にお伺いする“法律相談番組”です。

出演者

澤田有紀 (さわだ・あき)

澤田有紀

兵庫県西宮市出身 大阪大学文学部英文科卒
趣味・特技 / エレクトーン演奏、ゴルフ
弁護士(主婦弁) 大阪弁護士会所属
弁護士法人みお綜合法律事務所代表

OL、エレクトーン奏者などを経て主婦に。阪神淡路大震災をきっかけに「社会の役に立つ仕事をしたい」と一念発起して司法試験の勉強を始め、平成9年司法試験に受験1回目で合格。個人及び法人の債務問題,相続・離婚などの個人の法律問題を中心に取り扱っている。

専業主婦から弁護士になった経緯については「人生を変える!3分割勉強法」(祥伝社)をご覧ください。

森谷威夫 (もりたに・たけお)

森谷威夫

KBS京都アナウンサー。ニュースからスポーツ実況、バラエティまでマルチにこなす実力派。

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