今回は、京都市伏見区深草に、昨年春、オープンした「百歳牛肉麺」から番組をお届けします。オーナーの万さんは、中国出身で、大学留学で京都へ。卒業後は、大好きな麺料理の店を開きたいと、 在学中から、休みの度に本国に戻り、親戚が経営する麺料理の店で 修行を重ねてきました。
看板料理のひとつが、蘭州牛肉麺。中国の中でもイスラム教徒が多い蘭州市で食べられている麺料理で、通常のラーメンと違い、豚肉は一切使わず、スープもお肉も牛のみ!あっさりとして、それでいて滋味深く、まさに「医食同源」の国の奥深さを感じさせてくれます。
大学卒業と同時に自分の店を構え、来年2月中旬には、河原町三条西入の一等地に新装移転オープンするという、まさに挑戦続きの毎日ですが、一人でも多くの人に、自分の作った料理を味わってもらいたいと、希望に燃える万さんです。
今回は、そんな「百歳牛肉麺」に「しろ菜」と「京の肉」を持ち込み、料理を作って頂きます。いずれも生産者が、よりよいものづくりをと、工夫と挑戦を重ねて生み出した逸品です。万さんの手で、どんな料理に生まれ変わるのか、楽しみです。
工夫し、考え、挑戦し続けることで、よりよい「ものづくり」を行うことの大切さについて語り合う出演陣。
今回の番組の舞台となった「百歳牛肉麺」(年末に伏見区深草の店を閉店、2021年2月中旬に 河原町三条西入南側に新装オープンの予定)
オープンキッチンで、麺を打つ万さん。一般的な麺と違って水分量が多いため、注文が入ってから打ち上げるというこだわりよう。その妙技は、まるで魔法を見ているよう。
関西地区では、昔からよく食べられてきた「しろ菜」。柔らかく傷みやすいことから、近年、生産者が減少。京都市内で本格的に栽培しているのは、西京区の柴喜農園のみとなっています。
伝統の味を守り継ぎたいと、2反の畑と8棟のハウスで、「しろ菜」をほぼ1年中、生産している齋藤さん。もともと田んぼだった土を改良するため、4種類の土をブレンドし、30年近くかけて改良。水はけをよくするため、暗渠を設けるなど、色々な工夫と挑戦を重ね、季節を問わず、高品質な「しろ菜」を栽培する技術を磨いてきました。
今では齋藤さんの息子さんへと、「しろ菜」栽培が受け継がれていますが、他の産地の栽培法を研究するなどして、父とはまた違う手法に挑戦。より一層の「おいしさ」と「美しさ」を目指して、日々、作業に取り組んでいます。
香り高い脂と細やかなサシ、味わい深い赤身で、国内外に認められるブランド「京の肉」。和牛生産の世界では、子牛を生産する「繁殖農家」と、子牛を大きく育てて立派な肉牛にする「肥育農家」が分業を行っていますが、今回は「繁殖農家」の和田牧場にお邪魔させて頂きました。
伊根町で25頭の雌牛を飼う和田さん。親戚が牛を飼っていて そこで働いたことがきっかけで、牧場経営の道に。牛は年1産で、妊娠期間は約280日。妊娠、出産、授乳期と各段階毎に、細かく飼料の量や配合を変えるなどして、健康管理を徹底しています。
生まれた子牛が健康に育つよう、また、肥育の段階でよりよい成績を出せるよう、飼育環境や飼料に気を配ります。肥育農家から「いい子牛だ」と評価してもらうことが、最大の喜び。自分が思い描く理想の子牛に育てるため、日々、工夫と挑戦を続けておられます。
「しろ菜」と「京の肉」のすね肉部分を使って、看板の「百歳牛肉麺」を作って頂きました。ラーメンでは馴染み深い「チンゲンサイ」とはまた違う、あっさりして、それでいてスープや肉との相性も抜群の「しろ菜」。「ブランド和牛は、脂が多いので、うちの麺に合うか心配でしたが、すね肉は赤身のうま味がしっかりしていて、いつも以上に柔らかでおいしい肉麺に仕上がりました」と万さん。「京の肉」の新しい料理法の提案にもつながりそうです。