今回は、京田辺市に3年前にオープン。早くも予約のとれない名店として知られるレストラン「モーネ」を舞台に番組をお届けします。
「祇園よねむら」「イル・ギオットーネ」で長年、研鑽を重ね、イタリアのトスカーナにも修業に出かけたという河村シェフ。フレンチや和食、イタリアンといった従来のカテゴリーにとらわれない独自のスタイルの料理を提供するべく、店名は、あえてスカンジナビア語からとったのだとか。
意味は、「月」。夜空に静かに輝き、迷える人々に安らぎを与え、道を示す。そんな想いに満ちた、物語性豊かな一皿を提供し続けています。様々な分野の料理の伝統的技法、智恵があればこそ描ける「無二の世界」。それは、農業の分野にも共通するところがあります。
地域の強みを活かし、様々な智恵や技を受け継ぐ中で、生産者それぞれが描く「無二の物語」を、今回は、井手町と南丹市日吉町の現場からリポート。料理と農業というジャンルを超えて、共通するテーマを、熱く語り合います。
伝統や様々な技術、智恵を継承する中で、いかにして自分だけの「無二の世界」を築くのか。その可能性や喜びについて語り合う出演陣。
今回の番組の舞台となったレストラン「モーネ」(京田辺市花住坂2丁目2-25 0774-64-1106)
思いのほか、カジュアルで明るい店内には、オープンキッチンが設けられ、シェフの見事な手業を間近で堪能することができます。
今回、取り上げた農産物は山城産の「いちご」と、南丹市日吉町の特産品として知られる「京壬生菜」。
府内で初めてJAが出資、設立した農業法人「ジェイエイやましろファーム」。パートも含め、15人のスタッフが、トマトや九条ねぎ、万願寺とうがらし、水稲などの生産に従事。中でも1月から5月までの期間は、4棟の大型ハウスで、観光いちご園を開業しています。山城地域では昔から観光果樹園等の運営が盛んで、そうした伝統を受け継ぎつつ、法人の活動を紹介する場にもなっています。
岡山県出身で、妻の実家がある山城地域で、農業に就きたいと「ジェイエイやましろファーム」に就職した内田さん。実地研修が充実している事が、会社を選んだ理由だとか。山城ならではのいちご栽培の技術を受け継ぎ、将来は、いちご生産者として独立することを目標に頑張っています。
南丹市日吉町が「京壬生菜のブランド産地」に指定された平成2年から栽培に携わり、今では24棟のハウスで周年、京壬生菜を栽培する谷口農園。東京で農業を学んだ光里さんが、昨年帰郷し、今では親子3世代で、農作業に汗する毎日。農業が好きでたまらないという谷口さん親子。ハウスの中にはいつも、笑顔があふれています。
30年前、水田だった場所を畑にしたこともあり、なかなか思うような京壬生菜が育たなかったそう。そこで、谷口さんは近くの牧場に頼んで、牛糞を入手。これを堆肥として使い、何年もかかって土壌を改良しました。今では農園の一画に、堆肥舎を設け土の状態にあわせて完熟の度合などを調整したオリジナルの堆肥を使うように。色鮮やかで味の濃い京壬生菜を安定的に生産しています。
今回のテーマ食材のひとつ、京壬生菜を使った河村シェフの逸品。ソースはもちろん、上部の雲子と淀大根のフリットの間にもシャキシャキの歯ごたえが楽しい京壬生菜をサンド。見た目も食感もまさに「無二の世界観」を味わえる一皿です。
<京都・食への誘い>
ジェイエイやましろファームでは、毎年1月から5月まで、観光いちご園を開設しています。土日限定で楽しめますが、残念ながらこの春の予約はすでに満杯!ただ、受付棟では、いちごのジャムや家でいちご狩りが楽しめるプランター、トマトなどの販売も行われていますので、ぜひ、お近くにお越しの際には、のぞいてみてください。(井手町大字多賀小字流田19番地3 0774-82-5400)