JAグループ京都では、毎年、世界的な文化遺産を舞台に、京都産の食材を使用した大晩餐会を開催。京都の生産者や、開催国の政府関係者、食品関係の経営者やメディアなど、数百人規模を集め、国際的な注目を集めています。今年は、現地時間今月7日の夜に、スペインのマドリードで第7回となるイベントが行われました。

EUとのEPAが、今年2月に発効し、欧州各国に向け、日本産食材の輸出が加速される中での開催とあって、現地メディアの関心も高く、和食ブームを追い風に、EU経済5大国であり食の消費・輸出大国でもあるスペインで開催することは、これまでとはまた違う大きな意義があります。

今回の番組では、スペインでの和食ブームやEPAへの期待を取材・リポートするとともに、智恵と工夫で京都産食材をスペイン、そしてEU市場に売り込み、新たなマーケットを開拓しようとする人々の想いにスポットを当てます。

スペイン

EU5大経済大国のひとつ、スペイン。15世紀半ば以降の大航海時代に、世界を席巻し、「太陽の沈まない国」とも呼ばれる大帝国を築き上げました。その影響は今も各地に残り、中南米をはじめ、スペイン語を母国語とする人の数は、中国語、英語に次いで世界第3位。食の大国としても、強い情報発信力を持っています。


日本産食材を扱うTOKYO-YA

スペインでもここ数年、健康志向の高まりや、日本への旅行客の増加とともに、和食がブームに。これを追い風に、日本の農林水産物や食品の海外輸出を加速させようと、農林水産省では、「日本産食材サポーター店認定制度」を導入。現在、世界4千店以上にまで拡大しています。スペインの首都マドリードで、日本産食材を扱う「TOKYO-YA」では、EUとのEPA発効を契機に、日本産食材の本当の魅力を多くの人に知ってもらえればと期待を寄せています。

中川会長

農地面積は、日本の約6倍。有機農産物の出荷量では、EU第一位を誇る「食の大国・スペイン」。常に新しい味を求め、果物や野菜は毎年のように新品種が開発されています。日本へは、豚肉やトマト、オリーブオイルなどを大量出荷しているスペイン。日本がこの国へ、そして世界に向けて農畜産物の出荷を加速させていくためには何が必要なのか。中川会長自身も、農園を視察し、「本物の味」をいかに伝え、市場開拓していくか、探ります。

竹茂楼の料理人のみなさん

毎回、晩餐会の開催にあたって、京都産食材の魅力を伝える為、腕をふるってきたのが、京都で300年以上続く和食の名門「竹茂楼」の料理人のみなさん。調理総支配人の佐竹洋治さんが率いるチームに加えて、今回は、在スペイン日本国大使館、在アゼルバイジャン日本国大使館の公邸料理人2名が、厨房に参加。本物だけが持つ味わいを損なうことなく、どう、現地の人々に受け入れられる一皿を生み出していくのか。その先にこそ、新しい市場が拓けると考え、公邸料理人を送り込んだ水上大使、香取大使にも話を伺いました。

デ・ラ・キンタ・デル・パルド宮殿で開催された晩餐会

マドリードにあるデ・ラ・キンタ・デル・パルド宮殿で開催された晩餐会。スペインの元外務大臣をはじめ、政府関係者、食品業界の経営者など、約300人が参加。スペインやEUへの市場開拓を念頭に、工夫をこらされた料理が提供され、来場者からは感嘆の声が上がりました。

日本産食材提案会

晩餐会の翌日には、マドリード市内のレストランで、飲食店経営者や、流通業者、プレスなどを集めて、日本産食材提案会が開催されました。EPAの発効以降、欧州各国での寿司ブームを背景に輸出が伸びている水産品の魅力が紹介されたほか、日本料理の技を活かすことで、京野菜をはじめとする日本産食材のうまみをより豊かに味わうことができることを、PRしました。