主な行事

祇園祭行事一覧

神輿洗式

時をさかのぼること、千百年以上。貞観11(869)年のことです。京の都に疫病が流行しました。そこで、これを鎮めようと、神泉苑に、当時の国の数にちなんだ66本の鉾を立てて祇園の神を祭り、洛中の男児が祇園社の神輿を神泉苑に送って疫病退散を祈願しました。これが、祇園祭のはじまりとされています。

時代のなかで祇園祭も変遷し、いまは町衆の祭としての色合いも濃くなりましたが、その根底には、祭の起源である祇園の神が存在しています。素戔嗚尊、櫛稲田姫命、八柱御子神の三座です。祇園祭の起源にあったように、現在も祭の期間中、祇園の神は神輿にお乗りになり、洛中の男児に先導されて、旅をされます。神の域である八坂社から、人が暮らす域まで神輿で移動され、七夜そこにとどまった後に、氏子区域をめぐってまた本社へとお戻りになる、というのが、祇園祭のおもな流れです。

ちなみに、神輿の先導役を務めるのが、稚児の回で触れた久世稚児、駒形稚児と呼ばれる男児です。その三座の御神霊(※人でいうところの魂のようなもの)を人が暮らす域にあるお旅所まで渡御するものとして、八坂神社には3基の神輿があります。そして、神輿の巡行に先立って、7月10日に、「神輿洗式(みこしあらいしき)」という儀式がおこなわれます。

お神輿を祓い清めて、神さまを祀る準備をするという意味合いのほかにも、祇園祭に集まる神々をこれからお迎えするという意味もあるそうです。山鉾には、それぞれ神話や故事、宗教の教えなどが盛り込 まれているため、それらにちなむ神さまも、祇園祭に集まってこられます。そうい った神々をこれからお迎えするという意味も託されているのです。

神輿洗いがなされるのは、3基を代表して、素戔嗚尊をお祀りする神輿のみ。日が落ちて暗くなり始める頃、神輿は氏子たちに担がれて出発します。道中は、たいまつや提灯に導かれ、やがて四条大橋に到着。祝詞があげられたあと、その日の早朝に汲み上げた鴨川の水(神用水)によって清められます。水しぶきには厄除けのご利益がうたわれていて、たくさんの人が、水しぶきを浴びに訪れます。

事前に、神輿が通る道を清めるため、たいまつを掲げて神社と四条大橋を往復する行事もあります。さらに提灯を立てた行列が、祇園囃子にのって練り歩く、「お迎提灯」という行事も、京の夜を盛り上げます。

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