2021年8月の番組内容

今回の夢追人は、京都市西京区の清水大介さんと滋賀県東近江市の山路哲也さんを訪ねました。(リポーター：稲富菜穂)

【京都編】

京都市西京区にやってきました。目指す圃場は住宅地の真ん中でした。

今回の夢追人・清水大介さんは農家の5代目として栽培はもちろん、農業を通して地域や後進のために尽力する38歳の若きファーマーです。

清水さんは都市近郊型農業として少量多品種栽培に取り組んでいます。年間通して20種類ほどの野菜と米と京たけのこ、それに叔父さんが10種類ほどの果樹を栽培しています。採れたての野菜や果物は自宅の直売所などで販売しています。

トマトの担当は母・純子さんです。大介さんは真面目で勉強熱心、おまけに全力で取り組んでいると教えてくれました。褒められた大介さんは照れくさそうです。

清水さんが特に思い入れを持っているのは12年前に亡くなったお父さんが遺してくれた竹林です。京たけのこの産地として知られる大枝塚原でたけのこを栽培するのが夢だったというお父さんの思いを受け継いでいるのです。

京たけのこの収穫は春ですが、作業は1年を通して行われます。この時期は草刈りが欠かせません。このあと肥料を与え、竹林に藁を敷いて、削った畑の土をかぶせる土入れと呼ばれる作業など手入れが続きます。ここまでするからこそ京たけのこは特別な存在になっているのかもしれません。

土入れを手伝ってもらったことで知り合った佐々木享さん。人のために尽くすということを教えてもらった恩人だと清水さんは語ります。

稲富リポーターが持っているのは清水さんのお父さんの形見ともいえる京たけのこのレプリカです。清水さんはこのレプリカの京たけのこを使って地元の小学校で食育の授業を行っています。ほかにも高校のキャリア教育や大学生の社会体験にも貢献。若手農業者への指導にもあたっています。清水さんは農業のすばらしさを広く知ってほしいと考えています。

大学卒業後、富山県の農業法人で1年間修業して実家の農業を継いだ清水さん。お父さんとは喧嘩になることもしばしばでしたが、お父さんが亡くなる直前に大介さんのことを頼むと周囲に電話してくれていたことを最近知って涙が止まらなかったそうです。父の夢だった塚原での京たけのこ栽培を担っていることに感謝の気持ちが湧いてくるようになったと語ります。

清水大介さんの夢は...
「京たけのこ栽培の指導者になることです。私もまだまだ勉強中ですが諸先輩方がつないできてくださった京都西山の高品質な京たけのこを次の代につなげたいなと考えています。そのためには生産技術の研鑽はもちろんですが竹の歴史なども勉強して、もっともっと自分を磨いていきたいと思っています。あと都市近郊地域で農業をしているので農業になじみのない方に農業の魅力を伝えられたらと思っています。その食育活動を通じて子どもたちに道徳の教育をするのが最大の夢です。」(清水さん)