今回の夢追人は、京都市の中本勇気さんと滋賀県東近江市の杉田尚久さんを訪ねました。(リポーター:稲富菜穂)

【京都編】

202201_yumeoibito_k001.jpg

京都市北区上賀茂にやってきました。取材したのは雪がちらつく1日で、遠くの山もうっすら雪化粧しています。

202201_yumeoibito_k002_01.jpg

202201_yumeoibito_k002_02.jpg

33歳の中本勇気さんは独特の酸味で知られる京都の冬の風物詩「すぐき漬け」を守る若き担い手です。

202201_yumeoibito_k003_01.jpg

202201_yumeoibito_k003_02.jpg

中本さんは山里の情緒が残る大原で「すぐき菜」を栽培しています。「すぐき菜」は9月に種まきして11月から12月にかけて収穫します。この時期は収穫してすぐに上賀茂の作業場に持ち帰って漬け込みの作業が待っています。

202201_yumeoibito_k004_01.jpg

202201_yumeoibito_k004_02.jpg

「すぐき菜」はまず根やひげ、首周りの皮を取る「面取り」のあと皮をむきます。中本さんのところでは毎日900本ほどの「すぐき菜」を漬け込んでいきます。きれいになった「すぐき菜」が漬け込みの作業を待っています。

202201_yumeoibito_k005_01.jpg

202201_yumeoibito_k005_02.jpg

皮むきの作業をお手伝いさせていただきました。社会見学にやってきた小学生でも失敗しないと中本さんから聞いた稲富リポーターは、プレッシャーを感じながらの作業です。うまくできましたか?

202201_yumeoibito_k006_01.jpg

202201_yumeoibito_k006_02.jpg

皮むきを終えた「すぐき菜」は大きな樽で一昼夜「荒漬け」を行います。中本さんのところでは2種類の塩を使っています。塩の分量は手の感覚ですが、毎年最初の漬け込みの時にお父さんに確認してもらうそうです。

202201_yumeoibito_k007_01.jpg

202201_yumeoibito_k007_02.jpg

202201_yumeoibito_k007_03.jpg

「荒漬け」した「すぐき菜」は小さな樽に移して「本漬け」の工程へと入ります。塩を振りながら1段1段重ねていき、のべ10日漬けることになります。そして最後に40度ほどの温度に保たれた電気室(むろ)に移し、1週間寝かせて乳酸発酵させ、独特の酸味がある「すぐき漬け」の出来上がりです。

202201_yumeoibito_k008.jpg

202201_yumeoibito_k008.jpg

漬けあがったばかりの「すぐき漬け」をいただけることに。噛んだ瞬間から深い味わいと香りを感じることができました。さすが京都の冬の風物詩「すぐき漬け」!ごはんと一緒が最高です!食べやすいように口当たりよく仕上げているそうです。

202201_yumeoibito_k009.jpg

高校卒業後就農した中本さんは最初しぶしぶだったため毎日怒られてばかりだったそうですが、上賀茂地域の若い同業者の姿に触れることで意識が変わったと振り返ります。農業するなら早い方がいいと勧めた4代目の父・和仁さんも「頑張ってくれている」と中本さんの働きぶりを認めています。

202201_yumeoibito_k010.jpg

中本勇気さんの夢は...
「この伝統野菜をしっかりと次の世代につないでいけるように、去年の春に子どもも生まれてがんばらないといけないという思いが本当に強くなったので精進してがんばっていこうと思います」(中本さん)

【滋賀編】

202201_yumeoibito_s001.jpg

滋賀県東近江市にやってきました。干拓地・大中地区の北端で広大な農地が広がる中、ひときわ目立つ白いハウス群に今回の夢追人がいらっしゃいます。

202201_yumeoibito_s002.jpg

杉田尚久さんは江和商事滋賀ファームのファームマネージャーです。もとは繊維関係の営業職でしたが、現在の会社に入って新規事業のきのこの栽培を任されました。

202201_yumeoibito_s003_01.jpg

202201_yumeoibito_s003_02.jpg

全国的にも珍しい高級食材「黒あわび茸」です。ヒラタケの仲間でもともとは高温多湿の亜熱帯地方で採れるきのこです。食感があわびに似ていることからこの名前がつきました。滋賀以外では長野と和歌山、沖縄で栽培されているぐらいなんだとか。

202201_yumeoibito_s004_01.jpg

202201_yumeoibito_s004_02.jpg

繊細な「黒あわび茸」の栽培には温度、湿度、換気のきめ細かな管理が必要です。培地の入った瓶が並ぶ棚を斜めにしているのも工夫の一つです。日本きのこマイスター協会認定のスペシャルきのこマイスターである杉田さんの15年の経験ときのこ愛が年間10トンほどの生産量を実現しました。杉田さんによると「黒あわび茸」に寄り添いにはいっているが近寄ってきてはくれないという片思い状態だと笑います。

202201_yumeoibito_s005_.jpg

マニュアルがなかった「黒あわび茸」の栽培は試行錯誤の連続でした。発芽前の黒い胞子をほかの菌にやられたと思い処分しようとしたこともあったそうです。呼吸をさせるのが大切だという杉田さんはきのこ栽培のすべての基本はしいたけ栽培にあると語ります。

2202201_yumeoibito_s006_01.jpg

2202201_yumeoibito_s006_02.jpg

「黒あわび茸」を収穫させていただきました。引っこ抜くような感じで収穫していきます。手に取ると杉田さんが栽培する「黒あわび茸」が肉厚なことがよくわかります。

202201_yumeoibito_s007_01.jpg

202201_yumeoibito_s007_02.jpg

202201_yumeoibito_s007_03.jpg

スタッフの皆さんが「黒あわび茸」の料理を用意してくださいました。「黒あわび茸」の素焼き、「黒あわび茸」の天ぷら、「黒あわび茸」の筑前煮です。

202201_yumeoibito_s008_01.jpg

202201_yumeoibito_s008_02.jpg

素焼きは独特の食感が楽しめ、杉田さんお気に入りの天ぷらは油との相性がいい「黒あわび茸」の良さを引き出しています。筑前煮は「黒あわび茸」の淡白な味わいが生きるお料理でした。ごちそうさまでした。

202201_yumeoibito_s009.jpg

毎回新人のつもりで栽培しているという杉田さんをはじめ滋賀ファームのスタッフの皆さんと記念写真。お料理ありがとうございました。

202201_yumeoibito_s010.jpg

杉田尚久さんの夢は...
「会社やきのこ業界に貢献できるようがんばっていきたいと常々思っています。またスペシャルきのこマイスターとしていろんな方にきのこの面白さ、魅力をうまく、楽しく伝えていけたらいいかなというのが私の夢です」(杉田さん)


今月のプレゼント >>たくさんのご応募、ご意見・ご感想ありがとうございます!

202201_present_k.jpg 202201_present_s.jpg

※写真はイメージです。

京野菜セットを2名様、黒あわび茸詰め合わせを5名様にプレゼント。
住所・氏名・年齢・電話番号・番組へのご意見、ご感想をお書き添えの上、ハガキまたはこのHPの「プレゼント応募フォーム」でご応募ください。

〒602-8588 KBS京都「夢追人」プレゼント係

※〆切り1月15日(土)必着 当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます