主に木を材料に昔懐かしい家具や部屋の模型を作って販売する「てのひら工房」を営むミニチュア作家。"手を抜かず丁寧に"がモットーで10分の1に縮小した京町家や茶室などを自宅のギャラリーに展示している。小さなころから、ものづくりが好きだった畑中さんは、繊維機械メーカーに設計技師として就職。結婚してからも、家族のために棚やランププシェードなどをDIYで作っていた。50代になって、現場の仕事から管理職に異動。週末に和風のミニチュアを趣味で作ることが唯一の楽しみだった。そんな時、会社から早期退職を薦められ、好きなミニチュア一本を仕事にしてやってみようと決意。54歳の時に会社を退職し、「手のひら工房」を立ち上げ、第二の人生に賭けた。思いきれたのは、妻の信子さんが、後押ししてくれたから。はじめの2年は全く売れず、退職金を食いつぶす日々だったが、全国放送のテレビに取り上げられたことをきっかけに注文が殺到。一時は注文が1年半待ちになったことも。やっぱり手を動かしている時が一番楽しいと、今も工房でミニチュア製作に励んでいる。